未来編 第五話:「出来るならやってみろ!」


「なんだこの記憶は・・・いや記憶なのか?」
・・・俺のオーガニクスの武器は剣のはずだ。オノではない。
この記憶は一体・・・俺は困惑した。こんなことは今までなかった。

いや、今はそれどころではない。
今、俺は暗がりの中で新たに現れたオーガニクスと戦っている。
それに俺はその声には聞き覚えがあった。
「こんな素晴らしいものを捨てるのは勿体ネェ・・・違うか?」
声の主ショーンは静かに喋る。
「射出を止めたのはおまえか・・・お前らはキャメルにやられたんじゃなかったのか?」
俺は質問をした。
「あぁラズロか・・・そうだな確かにヤラレタよ。捕まった。
だがレベリアが脱走の名人でな。一緒に逃げてるうちにココにきたって事だ。
だが途中でこの場所が気になってな。見て驚いたぜ・・・
放送で見た特殊映像か宇宙人だと思っていた巨人が実在するんだからな」
ショーンは肩を揺らす。
「ハハハ、手が伸びてきて食われたと思ったらこの体だ。
そんで外に出たら射出が始まってたから、ぶっ潰して止めたって訳だ。」
ショーンは嬉しそうに話す。
「そうか・・・」
俺はそう答えた。面倒が減ったと感じたがショーンは俺とは別の目的で止めたのだろう。
「6体は抑えられた。そんでレベリアにも薦めたんだよ。
そうしたらそんな風になっちまったんで隠れてたってわけだ。」
ショーンはそう説明する。
「・・・レベリアの仇を取るか?」
俺はレベリアのオーガニクスから吹き出した黒い液体で体を濡らしたまま質問した。
「冗談。俺達は仲良しクラブじゃないだろ?
ただ同じ仕事をしただけだ。同僚だったが戦友じゃない。」
ショーンはそう淡々と答える。
「そこでロイド。俺とくまねぇか?この力があれば・・・何でも出来るぜ!」
ショーンは提案を出してきた。
「俺が断れば?」
俺は聞き返す。
「戦うしかねぇだろうな。」
ショーンはマントを銃に変えた。
「残念だ。俺の目的はオーガニクスをすべてを潰す事だ。」
俺は切っ先をショーンに向ける。
「そうかい!」
ショーンは俺に向けて理力を飛ばしたが、俺は体をひねり避けた。
ショーンの理力という名の光弾は銃という武器を通してるだけあり
凄まじい威力だった。壁がめくれあがり貫通し大穴をあける。
「・・・」
俺でなければ仕留められただろう。俺はショーンを見据えた。
「オーガニクスを降りろ!それ以外はないぞショーン」
俺はそう告げる。
「ハ!余裕だな。」
ショーンはまた俺を狙う。
俺はショーンの目の前に瞬間移動する。
これはリボーンしたオーガニクスにしかできない。
「なんだ?」
ショーンは言葉を失っている。
その隙をついて俺は切りつけた。
ショーンは危機を察し体をひねる。
俺の剣はかれの左腕だけを落とす結果となった。
「くそ!」
予想外の攻撃にショーンは慌てる。
「俺のオーガニクスはお前のオーガニクスとは違う。」
俺は彼にそう告げた。こんなところで時間を使うつもりはない。
「・・・ポテンシャルが違うって事か。」
ショーンは左腕を光らせ腕を再生した。
「そうだ。」
俺は答える。オーガニクスは乗っている者の理力・・・
意志の力の強さが一定基準を超えるとその理力に対応する為その体を再構成する。

これを<リボーン>と呼ぶ。

リボーンしたオーガニクスは機動性が格段に上がり
身体能力の全てが各段にあがる。
リボーンしたオーガニクスはリボーンしたオーガニクスでしか倒せない。
「なるほどね・・・」
ショーンはそう言いつつ後ろへ下がる。
「あきらめろ。」
俺は通告をした。リボーンしていないオーガニクスのショーンでは勝負にならない。
「そういうわけにも・・・いかねぇだろ」
そう言ってショーンは暗闇に隠れた。
「お互い居場所は感じ取れるんだ。隠れてもムダだ。」
俺はそう言った。何か作戦があるようだが・・・
「そうだな!」
俺の目の前が光る。理力が俺に向ってくる。
「うぉぉおおお!」
ショーンは叫び俺の胸元に飛びこむ。その速さは拡散した理力よりも速い。
「この至近距離を狙ったのか!」
俺は叫んだ。ショーンの作戦は解りやすく的確だ。
二人しかいないこの場所で瞬間移動するならショーンの後しかなかったが、
急に飛び込んできたショーンに、瞬間移動の目標を失い瞬間的な判断が出来なかった。
ショーンは理力を爆発させ銃口から溢れ出させる。辺りが眩しく光る。
「やったか!」
衝撃で吹き飛ばされたショーンが叫んだ瞬間、俺は彼の前に姿をあらわした。
「驚いたよ。ショーン。見くびっていた。」
俺はそう言って彼を肩から二つに分けた。
「へ、そうかよ・・・」
ショーンは最後にそう言った。彼のオーガニクスの黒い液体、つまり血が俺に吹きかかる。
確かにショーンの攻撃は並のオーガニクスなら耐えられなかった。
だが、俺のオーガニクスはリボーンしている。それだけではない。
レベリアのオーガニクスの返り血が俺のオーガニクスを強くしていた。
血を吸う事でオーガニクスはポテンシャルを上げていく為だ。
そしてショーンのオーガニクスの血をも浴びた俺は
力と引き換えにさっきまで一緒に戦っていた同僚ををなくした。
他の誰でもない自分自身の手で。
俺はショーンのオ−ガニクスの残骸の前に立った。
「お前は・・・このオーガニクスを何に使えると思ったんだ・・・」
一言呟いた瞬間、俺はよろけて片膝をついた。
体がだるい。理力を使い過ぎたのか頭が痛む。
また記憶がよみがえる。

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