未来編 第五話:「出来るならやってみろ!」


俺以外のオーガニクスが現れたこの状況の中で
不意に思い出の様に記憶は浮かぶ。
見た事もない風景・・・時代遅れな風景・・・で
オーガニクスに乗った俺の目の前に一体のオーガニクスが立っている。

「お前は変わった。お前がこの力に目がくらむとは残念だ」
前に立つ男が俺にそう告げる。
「・・・お前に評価してもらえるとは光栄だな。」
俺は静かに答えた。相手は唯一俺が心を許していた男だ。
「なぜこんな事をする?力の使い方を知っていたお前が・・・」
彼のオーガニクスの武器は拳の様だ。その拳を俺のオノで弾く
「なぜ?わかったからさ。工学、生物学、薬学・・・
すべてを学んだ俺は生物すべてを殺し、大地を腐らせる存在を」
俺はそう答えた。彼にはわかって欲しかった。
だが俺のプライドが彼に助けをもとめられなかった。
「バカな!一人よがりな考えだけで答えが出せるものか!」
彼は叫び俺の顔に拳を入れる。
彼には俺を殺すことに躊躇がある。力が不充分だった。
それが少しだけ俺の心を和らげた。
「だったらお前は全力で俺を止めれば良い。」
だが俺は彼の為にそう答えた。
俺達は敵同士になる。だからこそ彼の迷いをなくそうと思った。
彼の考えを貫いて欲しいと思ったからだ。
俺の力の使い方がおかしいのは知っている。
だがこの力を使ってでも間違えた世界を正さねばならないのだ。
「な・・・」
彼は俺の言葉に無意識に声を上げた。
俺も正しいし、彼も正しい。
だから俺はこのオーガニクスに賭けた。
「この巨人が審判を下す。俺とお前達どちらが正しいのか。」
俺の意志は彼らにしか止められない。
どちらにせよオーガニクスを持った者が未来を決めるのだ。

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