現在編 第二話:「さんきゅう」


大輔は出会った巨人に導かれるままに
中華料理で知られるこの土地へ来た。
巨人の力を使えばあっという間だ。
TVとかで見たことがある基地の倉庫に入り
巨人から降りたら個室に通された。
用意されているものはTVとベットだけだったがとくに困らなかった。
「家に連絡しなきゃなぁ・・・でも・・なんて?」
そんなことも考えていたがまずは仮眠をとる事にした。
翌日、起きてテレビをつけたそこには衝撃的な映像が映っていた。
「-謎の巨人が暴れています。この謎の生物はこのあと何処に消えたんでしょうか?
人類にとって脅威となります。政府の対応が待たれます-」
映っているのはケンゴと自分が戦った時の映像だ。
字幕で負傷者348名、死者36名、行方不明542名とテロップにでている。
「・・・ずいぶんとまぁ」
その映像をみて自分の暴れ振りに衝撃を覚えた。
そこにノックの音がしマリーが入ってくる
あの弓を持った巨人に乗っていた女性である事が思い出される
彼女の着ている服が軍の施設である事と彼女が軍人である事を理解させる。
彼女と顔を合わせるのは昨日の自己紹介振りだ。
「山岡大輔?ちょっとよいか?質問をしたいのだが」
マリーの眼鏡が光り毅然とした態度で部屋に入ってきた。
「・・・?なんでも。」
大輔ベットに座り右手で軽くベットを叩く。
マリーはすこし大輔と距離を置きベットに座り質問をする。
「まず君はオーガニクスを何処で?」
マリーはそう大輔に聞いた。
「オーガニクス?」
そう大輔が聞き返すとマリーははっと気づいたように捕捉する。
「あの巨人の事だ。アレを我々はオーガニクスと呼んでいる」
「へぇ・・・そうなの。俺はあの駅で拾ったよ。」
「拾った?落ちていたと言う事?」
「あぁ。詳しくは地下鉄から上がったら落ちていたんだ」
「それに乗ったと・・・」
「というか逆に質問良い?」
「なんだ?」
「オーガニクスって言ったよね。あれなに?」
「・・・月に何度か人間が着陸しているのは知っている?」
「TVとか・・で見た事はあるね。」
「オーガニクスは月に埋っていた。
今までは回収する技術がなくて最近まで放置されていたんだが・・・」
「じゃぁ最近回収したんだ?」
「そう。我々アメリカは四体回収した。」
「え?四体?」
「だけど他国でも回収している可能性が高いから
地球に何体いるかわからないのが現状。」
「他の国でも回収してんの?」
「可能性の問題。
ただ最後の回収で大分掘り起こされていた後があったと報告を受けているから、
月まで行ける科学力を持った国が回収したと考える方が無難ね」
「ケンゴとか言ったアイツは・・・知ってる?」
「・・・長村賢悟ね。彼はオーガニクスの研究を依頼した研究所のチーフだった。
だけどその力に惹かれてしまった様ね。一体強奪し行方不明になった」
「じゃぁそいつが久々に現れたって事か」
「そう・・・盗まれたオーガニクスと外観が一致してる。
オーガニクス同志は引かれ合うから君の元へ来たのだろうな」
「?というか結局オーガニクスって何なの?」
「まだ良くわからないんだが・・・有機体であるという事までは押さえている。
いうならば・・人間に近い。そこで有機からオーガニクスと名づけている。」
「有機体ってなに?」
「生きている・・・ということだ。サボテン程度だが意志を持っていて、
人を取り込む事でその搭乗者を五感のブースターとして動く様だな」
「まぁ確かに乗ってみて知らない間に使えたからなぁ・・・」
「オーガニクスの恐ろしさはそこだ。
装甲は我々の爪の様にしなやかで硬く、武器は威力が高い。
空を安易に飛び挙句に理力を使う。それが始めてでも扱えるのだ」
「?理力ってなによ?」
「理力というのは人間の精神の力・・・意志の力だな。
我々はあの力をそこに位置付けてる」
「ホー」
大輔の適当な返答にマリーは我を取り戻した。
「いやいや、今は私が質問する場だ。」
「あ、はいはい。そうね」
「あれは本当に拾ったのか?君は何処かのエージェントではないのか?」
真面目なマリーの顔に大輔は驚いた。
「いやいや。ホントだよ。こんなこと嘘いってどうする。」
「・・・」
マリーが大輔の目を凝視する。
「・・・やっぱり綺麗だ・・・」
大輔はポツリと呟く
「?なにが」
「アンタが。」
大輔がそう呟くとマリーの顔は一気に赤くなった。
「君はそんな冗談を!始めてあった時だって・・・・」

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