未来編 第三話:「俺を倒せると思っているのか」


さっきまで暗かった部屋が明るくなる。
広く開かれた鉄で囲まれた部屋。MW同士で戦うには最適の闘技場だ。
そこに盛大に戦いの銃声が鳴る。
俺はスミスの狙いを避けるが、MWの肩の装甲が吹き飛ぶ。
咄嗟とは考えられない精度だ。流石はハンティングホークと言われるだけはある。
「アンデット!責任は取ってもらおう!」
よけた瞬間にラウエルが叫び、彼の銃口が俺のMWコクピットに密着する。
俺は急速に後退し回避する。
ラウエルがまさかココまでのMW使いだとは思っていなかった。
俺は態勢を立て直し小銃で牽制する。接近戦に調整してあるこの機体では不利だ。
だが隠れたくても障害物がない。
「ロイド。お前がスパイだったとはな!」
スミスの銃弾は細かく動く俺の機体にかすっていく。
お互い移動しているとは思えないくらいの恐ろしい命中精度だ。
「・・・俺じゃないと言ってる」
おれは彼にそう伝える。実際覚えがない事だ。
「ではなぜ抵抗する!」
ラウエルが銃を撃ちながら俺に近づいてくる。
「死なないためだ」
俺は答えた。まだやらなければならない事がある。
「生きる為に俺達を売ったか」
スミス言い、彼の銃弾がかする。装甲が削れる音が聞こえる。
後方で壁に当り銃弾が爆発する。
「違うと言ってる!」
近づいてきたラウエルのMW銃撃を避け、左腕を鉄の杭で撃ちぬく。
近距離戦では俺のほうが場慣れしている。
「なに?」
ラウエルの驚きの声を上げた。
ただラウエルにとどめを刺す時間はない。
先にスミスをやらなければ、ラウエルを止める時に俺が撃たれる。
それにラウエルの動きは一流の囮の動きだ。
最初に狙うならスミス。それが正解だ。
この勝負の結末は見えている。
スミスが弾切れするまで俺が生き残るか、
俺の燃料切れでラウエルにやられるか。辛抱戦だ。

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