現在編 第三話:「うわ〜お」


暗闇にネオンが光る街に三体のオーガニクスが集まった
突如現れた巨人エンプリオ、マリー、そして大輔。
エンプリオと大輔は視線が重なった。
「マリー。俺はどうするのがベスト?」
大輔はマリーに質問した。
「・・・まず話をして仲間になれそうなら誘いたい。だがダメなら・・・」
「ダメなら?」
「・・・戦って力ずくでも止めるしかない。」
マリーの重い言葉に大輔は答える。
「りょうか〜い」
大輔は軽く答え下に降りていく。
マリーは大輔の態度に不安を覚えるがとりあえずはまかせてみる事にした。
地面が近づくにつれ徐々にエンプリオのオーガニクスにも近づく。
大輔は大通りの道路に着地した。エンプリオは大輔を見つづけていた。
「・・・なにしにきたの?」
最初に口を開いたのは大輔だった。
色々降りてくるまでに言葉を考えたが結局思ったことを口にしてしまった。
「俺以外にも巨人を扱うものがいるとは・・・」
「あぁ・・これオーガニクスって言うらしいよ」
大輔はエンプリオの問いに答えた。
「もう1回聞くけどなにしにきたの?」
大輔はもう一度聞く
「・・・話をしに来たのさ。」
「ヘー。んでアンタ名前は?あ、俺、大輔。」
大輔は自己紹介した。名前を聞くときは自分から。ちょっとしたポリシーだ。
「あ、俺はエンプリオ」
エンプリオはつい普通に答えてしまった。
まさか呑気に名前を聞かれるとは思っていなかった。
「んでさ、話ってなに?」
大輔はまた質問を投げかけた。
「そうだな。お前は金は好きか。」
「?まぁ好きだねー」
大輔は正直に答えた。
「なら話は早い。俺と組まないか?ガッポリだ。
なんならあの上にいる奴もいっしょでいい。」
「?なにすんの?」
大輔の問いにエンプリオが答える。
「きまってる。この巨人の力で金を頂くのさ。」
「そりゃいいな。」
大輔はその考えに賛同し話を続ける。
「この体の大きさがあれば建築とか良いよね。名前は巨人社かな」
「・・・」
エンプリオは言葉を失ったが我を取り戻し言う。
「何を言ってるんだ。この力があれば働かなくても金がわいて出てくるだろ!」
「え?」
大輔は首をひねる。術が思いつかない。
「脅すんだよ。この街と引き換えだとか言って。」
「・・・」
今度は大輔が言葉を失った。
「政府だって平和を守る為だ。払わんわけにはいかないだろ。」
「・・・」
「どうだ?ん?」
エンプリオは大輔に意見を求める。
「いやいやいや・・・・」
大輔は頭を振る
「お前アホだろ。ゼンゼンわかんね。なにそれ。」
大輔は呆れたような声でそう言った。
「・・・」
エンプリオは右手でマント握り
「なんだ、交渉決裂か。残念。」
といってマントをとった。
マントは彼の右手を覆い大きな爪となった。
「あーもう話が通じないとこうなるのかオーガニクスってのは。」
大輔はこのあとどうなるか理解しマントを武器に変えた。
「ダイスケ!」
上にいたマリーがダイスケの元に近寄ろうとした。
「いいよマリー。俺だけで」
大輔はマリーの協力を制した。
好きな彼女に戦って欲しくなかった。
「お前は俺に負けるぜ。」
大輔は自信たっぷりとエンプリオに伝える。
「・・・自信がある様だな。」
エンプリオが一声漏らす。
大輔の幅広く片刃の武器が鈍く光る。
「当たり前だ。俺の武器は剣だからな。
映画とかで剣を使う奴が負けたところを見た事ない」
大輔は自信満々に答える。
「・・・それだけか・・・」
エンプリオは呆然と聞き返す。
「?」
大輔は「常識だろ?」と言わんばかりに首をちょっと前に出す。
「・・・いやもうイイ。お前を殺ったあとは上の奴だ。」
エンプリオのその一言が大輔を本気にさせる。
「そりゃないな。お前は俺に倒される。この主人公の武器で!」
幅広く長い武器を振り回し大輔は答えた。その風圧で看板が落ちる。
知らない間に人は居なくなっていた。どうやら避難した様だ。
爪でこすれる音を出しながら
「お前何時主人公になった?」
と、バカにするようにエンプリオ喋る。
「決まってるだろ。マントが剣になった時だ、主人公確定だ。」
大輔の根拠のない自信でそう言い、長く太い武器を振り回す。
その姿はむしろ主人公からは程遠い印象を受ける。
もちろん大輔の周りの建物は無数の傷がついている。
「・・・」
上空からそのやりとりと大輔の行動を見てマリーは手で頭を押さえた。
大輔は悪い人じゃない。人柄は信用できると言える。わかりやすいが
頭はあんまり良くない。そう感じた。
「・・・まぁ大輔がどこまでやれるか判断する良い機会だと信じたい」
とマリーは呟き、続けて
「・・・私の目からみてそれは剣には見えない・・・」
と思った。

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