現在編 第一話:「俺と結婚してくれ」


都営地下鉄がある。彼、山岡大輔はいつものバイトに向かっていた。
彼は本で知られる街でアルバイトをしている。
といっても本とは関係なくステーキ店で
さりげなく爽やかで元気のある彼は店での評価も高い
何処にも引っ掛からなかった大学はあきらめて社員に誘われるほどだった。
しかし彼は夢の為今年バイトをしながら大学を目指していた。
今日は遅番。夕方からの勤務である。
電車を下り階段を上り自動改札に切符を入れる。
出ようとしたが二つの板に阻まれ腿を強打する。
「いって!」
声をあげ切符を見る。初乗り運賃が記載されている。
「あれ?」
眠かったのか料金を間違えた彼は後ろに待っていた人謝り清算機へ向かい
切符を入れ不足分を入れる。
「オツリガ デマス」
「・・・わかってるよっ」
軽くそう言い、出てきた清算券をひきぬく。
もう一度切符を自動改札に入れそのまま軽やかに階段を上る。
踊り場についた彼は最寄の階段に急いだその時
激しく世界が揺れる。激しい地震が発生している。
「おおおおおお」
大輔はもう驚きの声しか出さない。
それはすぐにおさまり駅の構内の電気が点滅しまた明かりを照らす。
大輔は走り上がって外に出る。
そして携帯電話を取り出し店に電話した。
「ツーツー」
通じない。
今度は人のいい店長に電話する。
「もしもし・・・」
店長が電話に出た。
「オッシ!店長大丈夫ですか!?」
店長の声に喜びを感じ大輔が話しかける
「大輔・・・今日は店・・・休みだ。そこまで来てると思うけど
ちょっと歩くと営団地下鉄があるからそれのって帰ったほうがいいよ」
「そうでしょうね・・・わかりました。きりますよー」
「ああ気をつけてな」
通話を止め呆然と立ち尽くす。
目の前の衝撃に広がる光景が店の休みを予感させていた。
いつもの十字路、ディスカウントと本屋に囲まれた十字路がえぐれていた。
吹き飛んだ物は街に広がり所々がゴミだらけになっていた。
「う・・・わぁ」
大輔はもうそれしか言えない。
いつもの街が今日、様変わりした。
「今日の空気よりサムイ」
軽く冗談を一人で言った。端から見れば大輔の方がサムイ
良く見るとえぐれた地面の中心に何かある。
「な・・なにあれ?」
それは大輔の想像を超える物だった。
4Mほどの巨人が鈍く光る銀色の布に包まれて倒れていた。
明かにこの惨状を造った犯人である。
「・・・」
大輔は動くかどうか様子を見る。
「・・・」
動かない・・・もう少し近寄ってみようかな?とも思ったが
こんな所で何かに巻き込まれてもたまらないと思い
営団地下鉄へ向かおうと巨人に背を向けた。
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
しかし不意に大輔は巨人へ振り向く
何かに呼ばれた。そう意識した。
しかしこの惨状でここにいるのは大輔しかいない。
巨人と大輔の二入しかいなかった。
「・・・よし!」
大輔は気合を入れ巨人へ駆け寄る。
彼は一旦決めると行動が早い。
めくれた地面に足を取られつつ
水道管から出てくる水をかぶりながら
「どうか下水ではありません様に」
と祈りながら近づき巨人の腹部の元にきた。
「なにも・・・ないよな」
大輔は軽くここまできた事を後悔しまた戻ろうとした時事件は起きた。
巨人の腕が彼を掴み持ち上げたのである。
「あああああぁぁぁぁ来なきゃ良かったーーー!!」
大輔はわかりやすい悲鳴を上げ巨人へ放り込まれる。
食われた事を意識した。一瞬だけ家に隠したエログッズが気になる。
趣味が家族にばれるのは嫌だったが死を意識した彼には
どうでも良い事に思え考えるのは止めた。

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