過去編 最終話


瞬間的に移動したシオンの目の前には
鎌を持ち街を破壊するオーガニクス後姿があった。
「・・・色が強い・・・こいつは・・・」
このオーガニクス名をガドルという。
ガドルの動きが止まりゆっくりとこちらを向く
「なんだよ・・・邪魔をする気か」
ガドルはゆっくり喋る。
「なんだ。喋れるのか。」
シオンは感心した。てっきりボーグの様に精神を食われていると思っていたからだ。
「バカにしたのか・・・俺を・・・お前も!」
ガドルは右手を上げた。その瞬間光がシオンを襲う。
「理力を使うのか!?」
シオンは左手で光を発生させ防ぐ。手がしびれる。
「こいつ・・・」
アレクと最初戦ったときと同じ位の衝撃を受けた。
「おまえも・・・使えるんだな」
ガドルは震える声でシオンに言う。
「これは!僕だけの!父さんと母さんが僕だけにくれた力じゃなきゃいけないんだ!」
ガドルの身体が光を纏いシオンへ突進してくる。
「何を言ってるんだ!」
シオンは訳もわからず防御する。
武器を武器で弾く鈍い音壊れかけた町に響く。
「勝手に生まれて!勝手に生きれば!国なんてあるから!」
声を震わせながらガドルは叫ぶ。
「・・・相手にしてられん」
シオンは理力を込め剣を振るう
振り落とされた剣をガドルは理力をこめた鎌で防御したはずだった。
しかし鎌ごと剣は振り下ろされガドルの左腕ボトリと落ちる。
肩口から黒い液体がほとばしりガドルとシオンをぬらす。
「理力が足りなかった様だな。無理もない・・・もう死ねよ」
シオンは冷たく言い放つ。
「・・・痛いよ。父さん。母さん・・・死ぬ?」
ガドルは膝を落とし独り言を呟く。
「死ぬ。・・・お前も、殺そうとするの?」
「・・・・」
シオンは黙った。様子がおかしい。心なしかガドルの身体に黒味が増す。
「殺すのは俺だ。殺すの俺だ。殺す!」
ガドルの肩口が泡を出し見る見る腕を形成していく。
「なに?腕を丸ごと再生するのか?」
ガドルの身体が光に包まれる。
「お前!もう許さないぞ!」
ガドルの身体がさらに光る。
「・・・まさか・・・!」
光がうつむいたガドルを大きくくるみ激しく光る
そして光がやむ頃にはガドルの身体が大きくなり武器も一回り大きくなった。
そして身体の一部一部が模様のように光る。
姿は違えどシオンのオーガニクスのような印象を受ける
「・・・リボーン(再生成)するとは・・・」
シオンはその姿に驚き改めて戦意を向ける。
この世界で自分以外にリボーン(再生成)するオーガニクスと
アレク以外に出会うとは思っていなかった。
「僕・・・なんか清清しいよ・・・また力をくれるんだね・・・」
ガドルはブツブツ独り言を言いつづける。
「僕はただ消したいだけなのにアイツが・・・」
「・・・」
ガドルはユラリと頭を上げシオンを見つめる
「邪魔をするなァー!」
ガドルは鎌を振り回しシオンを襲う。
シオンが剣で鎌を抑える度に光が生まれる。
その光が生まれる衝撃は周りの建物を次々と破壊してゆく。
ガドルが軽く鎌を振りまわすだけでまわりが消し飛んでいく。
「アハハハハハハハハハ」
ガドルは嬉しそうに鎌を振る
「・・・やはりこの力は危険だ。あってはならない」
シオンはガドルの前から姿を消し一瞬でガドルの上に現れる。
「うぉぉぉぉぉ!」
シオンは理力を込めて剣を振るう
衝撃は大地を割り粉塵があがり間まぶしく剣が光る。
「なに?」
気配を感じ上を見るそこにはガドルがいる。
「瞬間移動できるのが自分だけだと思ってたの?使えるよ・・・僕にも。ハハハハ」
リボーンしたての今なら簡単に倒せると思ったが
「それほど簡単じゃなかったか。」
シオンも空中へ登る。
目線がガドルと同じ位置になる。
ガドルと視線がからむ。
「ははは住む所が壊れていくね。アハハ」
ガドルは嬉しそうに笑う。
「別に街はどうでもいい・・・」
シオンの言葉にガドルの笑いが消える。
「俺の目的は最初から目覚めたオーガニクスを止める事。
この力はすべてのバランスを狂わせる。人には過ぎた兵器だ
このまま放置するわけにはいかない」
シオンは話を続ける。
「お前は被害者だ。オーガニクスに人生を狂わされてる。
そんなヤツラを俺は何人も見てきた。せめてこうなった時に止めてやる為に・・・」
シオンのオーガニクスから光が溢れ出す。
「この力は渡さない!僕がもらったんだ!」
ガドルはいきり立つ
「俺は目覚めた。それが俺の贖罪だ!」
オーガニクスシオンの赤い瞳が光で白くまぶしく光る。
「うわぁぁぁぁ」
ガトルは攻撃を繰り出すシオンが弾いては反撃する。
空で戦っているのに彼らがぶつかる度に大地が震える。
その様子を遠くから見ていた二人の傍観者がいた。
オーガニクスエリオと崩壊しつつあるアーベンドの王カイルであった。

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