過去編 第六話:「この国は渡さない!」


シオンは自部屋で服装を整えて考えていた。
力を取り戻した今、自分が敗れる事は考えにくい
だが発作がまたおこってしまった場合は話は別だ。
もし敗れた場合・・・
ちらりと後にいるクレアをチラッとみた。
クレアは何もわからず微笑み返す。
「・・・まさか人を気にするとはな」
シオンは自分がおかしかった。
自分が死んだらソレまでだと思っていた。それでいいと思っていた。
今は違う。始めて自分に甘えてくる存在がいる。
「どうかしました?」
後の少女はシオンに話しかける。
「クレア、いいかい?よく聞いてくれ」
「はい」
クレアは真面目な表情をする。
「この戦いが始まったらころあいを見て俺が言う場所に言って欲しい」
「?わかりました。」
「そして、もしも・・・もしもだ。
俺が敗れ、帰れなくなった時は・・・」
クレアは涙ぐむ
「いや・・もしもだよ。」
「もしもでも・・そんな事・・・いわないでください・・・」
語尾は声が震えていた
「ごめんよ。でも、大事な話なんだ。よく聞いて・・・」
シオンはクレアの瞳を見つめる。
「・・・俺が戻らなかったら・・・」

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