過去編 第五話:「これが最後なら。」




「私はみた!忘れもしないあの日!巨人が空を駆けるのを!」
老人は雄々しく声をあげ、老人に銃口を向けた男に言う。
「ミサイルも化学兵器もすべて押しのけて巨人は立ち回った。
衝撃的だ!我々が研究しつくった武器はまったくの無力だった」
老人は銃口に背を向けコンソールを操作する。
「みてみろ!これがその巨人だ!」
ディスプレイの画面に、オーガニクスが、放たれた兵器を簡単にあしらう動画が表示された。
「これだけの力があればミリタリーバランスを崩す事もできる。
この圧倒的な力・・・・素晴らしい」
「・・・」
「しかし・・・あの動きは機械には無理だ。では・・・どうするか」
「・・・」
銃を向けた男は答えなかった。しかし老人は気にせず続けた。
「有機生物!あれは生物の動きなんだよ!」
「・・・」
「巨人は人型なんだ簡単さ。私は何度も何度も何年も実検を繰り返した。
形は再現できた・・・しかし、どれもすぐ腐ってしまう。死体と変わりない。」
「・・・」
「私は結果を出した。・・・では既に生きているものを使えばいい」
「・・・」
「どうせなら戦闘に長けたものを使いたい」
「・・・この基地へお前を救助にきた傭兵・・・」
「そ〜だ!事故のフリして救難信号を出して集めたのだ。
月にあるこの極秘軍事基地にくるのは名の知れた傭兵にきまっとる」
「できたのがこの・・・巨人」
「そうだ。手間取ったが、あの憧れた巨人を再現できたんだ。
名前も有機物からオーガニクスと名づけた」
「さきほどから動きそうもないが」
「それはそうだ。兵器に意志はいらん。兵器は人が乗らんと動かんよ」
「何を企んでいる・・・」
男は老人に質問をした。
「?私は研究者だ。この巨人を研究しこいつら以上の兵器を作るのだ」
「・・・」
銃声が鳴り響いた。老人が額を後から撃ち抜かれ倒れる。
「お前の役目は終わりだ。くだらない」
男はそう吐き捨てた。

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